轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
Z曲馬団
Z曲馬団
東京市民生活の触手が、田園農民生活の中へ突入し、市民と農民とそれから小工場労働者とが渦を巻いて入れまじっているような、大東京西南の一隅M町の、ほこりっぽい古道具市で有名な広場に、一か月ほどもうちつづけている大サーカスがあった。その名はZ曲馬団。
その曲馬団の大テントの正面に、きのうから、突如として無気味な絵看板が掲げられた。三間四方もある大看板一杯に、黄色に黒く斑紋美しい猛虎と、まっ黒な大熊とが、双方後肢で立ち上がって、お互いの肉に鋭い爪をうち込みながら、まっ赤な口、まっ白な牙を咬み合わせ、血みどろになって格闘している凄惨の場面が、毒々しい泥絵具で描いてある。
「虎と熊とがどっちか死ぬまで戦うんだって」
「喰うか喰われるかだよ」
絵看板の前の人だかりは、恐ろしい見世物の刻限午後一時が近づくにつれて、刻一刻その数を増して行った。
「さあ、お早くお早く、虎と熊の格闘がいよいよはじまる。これを見落としたら二度と再び見られぬ。孫子の末までの語り草だ」
木戸口に半纏姿の男が、顔をまっ赤にしてどなっている。
その木戸口には、ゾロゾロと数珠つなぎの入場者だ。