轻松读懂日语经典作品
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页
彼女ははしゃいだり、佃に意地わるい小言を云ったりした。
ある朝、風呂から出て来ると、佃が縁側に出て庭に立っている女中と話していた。
「じゃ、日帰りできるね」
「ええゆっくりでございますよ、少し早めにお出かけんなれば」
「――どういう風に行くのかね、ここからだと――殺生石の横から上るのかしら」
「そうです。あそこにちょっと急なところがございますが、直ぐ本道へ出ます――大勢さんおいでですから、そこまでいらっしゃれば、自然と頂上までお登れなさいますですよ」
「どこ?」
「折角来たんだから那須へ登りたいと思って」
朝飯を食べながら佃は伸子に云った。
「君はどうせ駄目でしょう――待っていてくれますか」
「そうね――待ってたっていいけれど……」
一日ぽつねんとしていることを思うと、気が進まなかった。
「何里あるの――行けたら私も行きたいわ」
「上下三里ばかりだそうだが、ずっと登りつづけだから――どうかな――」
「行くわ、じゃあ。ぽっつりここにいるより行った方がまし」
佃は迷惑そうであったが、伸子は膳を下げに来た女中に草履と結いつけの紐を頼んだ。
起きた時分には靄があったが、八時過ぎると素晴らしい天気になった。