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のぶこ
伸子
宮本 百合子
「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页
六
煖炉のそばに、須田の三人の子供と、三人の伸子の弟妹、母とがいた。彼らは、前ぶれなしに入って行った伸子を見ると、一どきに、それぞれの声で、
「わーッ」
と歓声をあげた。
「こんちは。丁度よかってね。私達一時間ばかり前来たところよ」
「おあつらえむきだったね、さっき電話でもかけて見ようって、云っていたところだったよ」
「そう。――暫く」
伸子は手袋をぬぎながら、従妹たちに挨拶した。
「久しぶりね。この前、準ちゃんの御結婚のとき会ったきりね」
「だって伸ちゃん、ちっとも来て下さらないんですもの」
わりこんで腰かけると、カアテンの仕切から、つや子がこっくりしたいい黄色の毛糸のスウェータアを着て出て来た。
「お姉ちゃま、泊る? 今夜」
「さあ――。つやちゃん今日はおしゃれね、どうしたの? そのスウェータア」
「鈴ちゃんが編んで下すったの」
「いい色だね、子供にはそんな色もいいと見えるね」
「つや子は髪が黒いからなお似合う、つやちゃんは何をお礼するの?」
つや子は考えていたが、きまり悪そうに、
「僕も編んだげるわ」
と答えた。すると、保が、頓狂にふりむいた。
「え? 君が編む? つや子の編んだ袋ね、僕見たけど、まるで貧弱ったらないの。