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のぶこ

伸子

宮本 百合子

「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页

青空文庫

自分も、今までの寒くもなければ暑くもない、囲いのうちの植物のような生活は棄てたい。その望を遂げるために、これから半年なり一年なり身を置く環境の選択は伸子にとって難かしいのであった。

大学近くのアパアトメントに部屋借りをして暮していた中西を訪ねて、様子を見などしたあげく、伸子は遂にチェットウッド博士の意見通り、C大学附属の寄宿舎に入る決心をした。その寄宿舎には安川もいた。

「――何も経験だから結構だ。暫くいていやになったら又その時何とか思案もつこうから、いいさ」

「安川さんの話では夜芝居へなんか行くのだって、断りさえすれば許してくれるのだそうだから、私いいと思うの。ただ聴講生にならなければ入れないんですって」

「それもよかろう」

「……二三日うちに行って見てきめるわ。――佃さんに来て貰ってよくて?」

「暇なら頼んだってかまうまいよ」

佃とC大学の登記掛へ行ったのは、暖かく晴れたある月曜日であった。彼らは学生らに混って、公孫樹の植っているペエヴメントをあちらへ行きこちらへ行きして登録をすませた。若い女学生が本を抱えて元気に髪を風に吹かれながら歩いていた。伸子は、