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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

僕は単に傍観者の一人なんです」

「そんなことはない。佐々砲弾が東京の新聞に君の説を細大洩らさず連日の紙上に書いた。君は明かに金鵄勲章功一級というところだ。学界はいま大沸騰をしているよ」

「そうそう、その佐々砲弾で僕は今やってきたのです。先生この天文台の台長さんを紹介して下さい。僕は佐々と是非無線電話で話をしてみたいのです」

「ああそうか。それはいいだろう」

「先生は台長をご存じでしょうネ。紹介していただけますか」

「そんなことはわけはない。台長はこの儂じゃ」

「えッ、先生が……。なあンだ」

河内台長の案内で、大隅学士は秘密のミクロン電波送受信機の前に近よることができた。三人ほどの研究員が、熱心に機械の調子を合わせている。

台長の紹介で、大隅学士は一同と知り合いになった。研究員たちは、この学界の英雄を目のあたり見て、すっかり興奮してしまった。

「さあ、出ますよ」と一人が受話器をかけて、しきりとダイヤルを動かしている。「ああ出ました。……貴方佐々砲弾さんですか。いや毎度すみません。違いますよ、こんどは天文の話ではありません。大隅理学士がお話しなさりたいそうで。代りますから、ちょっとお待ち下さい」