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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

――こっちの器械はいいらしいが、向うの方の器械がどうかしたものらしい。

「大隅さん。これはしばらく向うの直るのを待つよりほかに手はありませんよ」

と、その研究員は気の毒そうにいった。

大隅はイライラする心を抑えるのに骨を折りながらも、とにかく始めてウラゴーゴル星と通信しえたことを悦ばずにはいられなかった。

ただ辻川博士が生きていたとは、まことに意外であった。しかし後から考えると、なるほど心あたりがないでもない。さきごろ博士の書斎に忍びよって、書類戸棚を焼き切っていたシュワルツコッフ博士は、どうも本物のシュ博士と違って、身体も小さかったようだったし、顔中たいへん毛深かったように思った。ひょっとすると、辻川博士は自分の無事なことを隠すために、シュ博士に変装して博士邸へ帰ってきたのではあるまいか。なにしろ佐々砲弾さえ一命を助かっているくらいだから、博士乗用のロケットに立派な安全装置がついていない筈はないだろう。博士のロケットは海中へ墜落したが、博士の生命はとにかく安全だったのに違いない。

その辻川博士は、なぜまたシュワルツコッフ博士を連れて、ウラゴーゴル星へ向けて飛びだしたのだろう。