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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
「ラヂオ科学」1936(昭和11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页
「佐々君。この村にはどの点から見ても吾人の想像を許さぬ一大秘密が隠されていると確信する」
「一大秘密? ようよう、それだそれだ。そう来なくちゃ面白くない」
「まず失踪した武夫君が見たという亀のように大きな甲虫のこと、それから森の中に武夫君の声だけがあって姿を見せないこと、一年前突如として沖に碇泊した外国船のこと、辻川博士の怪行動のこと、蜻蛉の発生がたいへん遅れている上にいつも真西より三十度ほど北にふれた方角にばかり向いて飛んでいること、それから、お美代ちゃんの妹の失踪のこと……」
「まだある。佐々砲弾が忙しい東京の職場を離れてわざわざこんな土地に飛んで来たこと、それから大隅学士が暑中休暇の勉強地をわざわざこんな田舎に選んだこと、……」
「いや実を云えば、僕はどういうわけか、この矢追村の地形が気に入ったというか、気になるというか、とにかく非常に僕の心を惹きつけるところがあるのでネ、それでフラフラとやって来たのだ」
「第六感というところだネ」
「そうかも知れない。まあそんなわけで、この村には興味ふかい謎がウンと落ちているのだ。まるで多元連立方程式の、その要素をなす一つ一つの方程式があっちこっちにバラバラ落ちているといったような形だ。