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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

佐々のロケット何処

佐々のロケット何処

トロトロと睡ったらしい。

なにしろ大隅学士は、連日連夜の奮闘で、身体は綿のように疲れていた。しかし刻々に危難が自分の上に今にも落ちてきそうに見えるときには、緊張していた。だが今は、怪博士のロケットも爆破し、博士邸の番人である岩蔵も彼に降服し、この博士邸は今や彼の支配下にあるようなものだった。

彼は危難から解放せられた形で、ただ友人の身の上を案じながら、外に手段もないので、五分間置きに電子望遠鏡を覗くだけの仕事しかなかったので、そこで精神の緊張が解け、そこへ疲労感が急にあふれてきて、さてこそトロトロと睡ったものらしかった。

「あッ、これは失策った……」

大隅は、周章てて椅子の背から身体を起すと、電子望遠鏡を覗きこんだ。友の機影はどの位まで焦点を外したかと思いながら、注意して距離調整用のクランクを徐かに廻していった。ところが……どうしたものか、どの位クランクを廻していっても、佐々砲弾のロケットは出てこなかった。

「これはいかん……」

彼は顔色をかえた。しかしそれはもう遅かった。いつの間にか、佐々砲弾の乗っていたロケットの機影は、望遠鏡から外れてしまったのだった。