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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

彼はトボトボと、なだらかな坂道を下りていった。僅か三、四日見なかったばかりの矢追村だったのに、彼はもう三、四ヶ月も来なかったような気がするのだった。

下宿では、朝日を浴びて洗濯ものを乾していたお内儀が、彼を見つけると頓狂な声をあげて近づいてきた。

「あらまア、大隅先生。わたしゃ心配していましたがナ。貴方さまは一体どうなすったというの……」

「イヤ突然だったけれどもネ、ちょっと東京へ出かけたんです。知らせる間もなくてどうも……」

といったけれど、大隅の洋服はヨレヨレになりところどころ鍵裂きや泥に汚れて、一と目でそれと、連日の悪戦苦闘を物語っていた。

「へえ、東京へ……」

とお内儀は妙な顔をして首をかしげたが「それからあのお連れの佐々さんはのう」

「ああ、佐々君か。彼も一緒に東京へ行ったんだが、そのうち帰ってくるだろう」

「そんなに宿へも知らさんし、支度もせんでお出掛けになるとは、一体どんな御用かいのう」

大隅は只苦がりきって、ゴロリと畳の上に横になった。

「なアもし大隅先生。……もしわたしの思い違いなら許して貰いますが、先生がたはあの魔の森へお入りじゃったのではないかのう。