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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

父には是非を直言する子があれば、すなわち身は不義におちいらなかつた。それゆえに、もしも不義があつたならば、子は、その父にたいして、争わなければならない、臣はその君にたいして、争わなければならない。不義の父の命令にしたがうことは、孝ではない。」

孔子の言は厳粛である。

孔子は、二千四百年の昔、すでに屈従主義を排し、正論の主張をもつて、その弟子に教えていたのである。それは有名なドイツの学者ルドルフ・イエリングが説いた世界的名著『権利の闘争』と、同じ趣旨の教えである。山崎闇斎のごときは、孔子の教えを、理解する能力がなかつたものである。彼は迂儒たるをまぬがれなかつた人といえる。

まえにも述べたように、日本は、古代から、国造があり、国司があつた。それらは、いずれも地方の土着の君主であつたと見てよい。古代から。天皇一人のみが、日本の君主ではなかつた。孔子の教えは、それらの各君主によつても、適当に守らるべきであつた。しかるに、勤王を説く学者は、日本には、古代からただ一人の君主、すなわち天皇のみがあつたように論じている。これが、大きな欺瞞である。この派の学者は、「君が君たらずとも、臣は臣たれ。