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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

(註三)

「私ども伏して、今日の政権の帰属するところを推察するのに、上、皇室にあるのではなく、下、人民にあるのでもない。もちろん官僚が、上、皇室を尊ばないというわけではない。しかるに、皇室はだんだんにその尊栄をうしなってゆく。また人民のことを考えないというわけでもない。しかし、政令はまちまちであり、朝に出たものは夕方には改められる。政刑は情実をもっておこなわれ、賞罰は愛憎から出る。言論はさまたげられ、人民の苦しみは訴えるところがない。」云々。

また言う。

「官僚はいう。欧米の各国でおこなわれている議院という制度は、一朝一夕にできたものではない。しだいに進歩して、今日にいたったものである。それであるから、日本人が、今、にわかに、それをまねることはできない、と。しかしながら、しだいに進歩してできあがるものは、ただ議院だけではない。およそ、学問、技術、機械、みなそれである。しかも、外国が数百年かかってできたものは、その前に手本があったのではない、みな自分で経験をつんで発明したものである。日本がもしも、以前からあるものだけを選んでやってゆくということであったならば、一体、何ができるであろうか。