轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
青眼鏡は尾行者に気づいているのかいないのか、振向きもしないでサッサと歩いて行く。
異様に長く感じられたコンクリート塀が、やっと終ると、犯罪者はその塀に添って、ヒョイと暗い横町へ曲ってしまった。
見失ってはならぬと、一層急ぎ足になって、同じ角を曲ったが、一歩その暗闇に踏み入ったかと思うと、守青年はギョクンと立ちすくんでしまった。
青眼鏡の黒い影が、正面を切って、そこに待ち構えていたのだ。
「静かにしろ。でないと……」
男は変に嗄れた声で云って、右手を動かして見せた。ピストルだ。
「相川君」
とその男が呼びかけた。守は余りの意外に、空耳ではないかと疑ったが、決してそうではなかった。
「フフフ……、驚いたか。よく知っているんだよ。さっきは色々御苦労様だったね。だが、つまらない真似はよすがいいぜ。お前なんかの手に合う俺じゃないんだ。サア、帰り給え。向うを向いて、おとなしくあんよをするんだ」
低い圧し殺した声で云いながら、右手のピストルが絶えずチロチロと威嚇する様に動いていた。
相川青年は途方に暮れてしまった。おめおめと悪人の命令に従うのは、余りにみじめだ。と云って、この飛道具を持った命知らずを相手に、何をしようというのだ。