轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
病探偵
殿村さんはそう云って、なぜかニッコリ笑った。守は彼女のこういう笑顔を今まで一度も見たことがなかったので、このおばさんにも、こんな表情があったのかしらと、何か発見でもしたような感じであった。それに、言葉と笑顔との間に、全く何の聯絡もないのが、一層変な感じを与えた。殿村さんは一体何がおかしくて、あんな盗み笑いをしたのであろう。
だが、一瞬間「オヤッ」と思ったばかりで、殿村さんの笑顔が素早く消え失せると同時に、彼もその事を、つい忘れてしまったのだけれど。
病探偵
その晩、夕食後に、守青年は、父操一氏にも話をした上、病床の三笠老探偵を訪ねた。
三笠氏は、そこの院長と懇意な関係から、自宅に近い麹町外科医院という、小さい病院へ入院していた。
余り立派でない西洋館の玄関を入ると、消毒剤の、どっか身内のうずくような匂が鼻をついた。そして、ベルの音に、その不快な匂の中から、四角な顔の事務員が現われた。
「三笠さんに御面会ですか。あなたは……」
彼は、守をジロジロ見ながら、何か警戒する様なうさんな口振りで訊ねた。
「相川守というものです。三笠さんに御伝え下されば分ります」