轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
滴る血潮
おかしくておかしくて堪らない様に、いつまでも笑いやまなかった。
滴る血潮
アア、この女はとうとう気が違ったのではないかと、一座の人々がギョッと目を見はるのを、殿村夫人は小気味よげに眺め廻しながら、左手首の腕時計を、一同に見せびらかす様にして、恐ろしいことを云い始めた。
「三笠さん、あなた一度時計をごらんなすっては如何ですの。犯人のことばかりやっきとなってて、一体お嬢さんの方はどうなるのでしょう。ホラ、もう三時じゃありませんか。犯人は予告を実行しないとでも考えていらっしゃいますの? ホホホホ」
彼女は人も無げに笑うのだ。アア、何という不敵の曲者であろう。最後の土壇場に追いつめられても、ひるむどころか、無援孤立の身で、強敵三笠探偵に逆襲しようとしているのだ。併し、彼女自身も相棒の一寸法師も捕まってしまった。因果物師の手下達も巣窟をあばかれてしまった。それでいて、予告の殺人をどうして実行しようというのだろう。そこに何か、流石の老探偵さえ気づき得ない深い企らみが隠されているのではあるまいか。
「ウン、如何にも丁度三時だ。三時がどうかしたのかね」
三笠老人は落ちつき払っている。