轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
藪の中の美少女
窓を開いて助けを求めようにも、両側はうち続く並木と生垣ばかり、まれに人家が見えても、みな燈火を消して寝静まっている。
アア、本物の三笠探偵は何をしているのだ。彼の大言壮語はどうなったのだ。彼が保護を請合った珠子の命は風前の燈火ではないか。今こそ老探偵の力を揮うべき時ではないのか。
併し、いかな手品師の名探偵も、風のように疾走するこの自動車を、どう止めることが出来るだろう。賊の自動車は一台きりだ。あとをつけている車などは全く見当らぬ。
藪の中の美少女
白髪の鬘、白髪のつけ髭をした、偽物の三笠探偵は、変装とは全く違った中年男のネットリとあぶらぎった手の平で、か弱い珠子の五本の指を、愈々強く握りしめながら、徐々に徐々に、もはや抵抗力を失った彼女の全身を、彼の厚い膝の上へと引寄せて行った。
珠子はもう目をつむっていた。
薄暗く狭苦しい自動車の箱の中に、ムッとする男の体臭丈けが、熱い風の様に感じられた。とうとうその時が来たのだ。巨大な蠍は真赤な鋏で、彼女を圧えつけてしまったのだ。今にも、毒虫の尻尾がキュウッと醜く曲って来るのだ。そしてあの毒液が、人を気違いにする毒液が、彼女を殺してしまうのだ。