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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
06 第六分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页
と、激励していた。
そして、一月の末、ふたたび檄を発して、
「備後三原に会せよ」
と、その日時を通報した。
備中高松の城主、宮路山の城主、冠山の城主――加茂、日幡、松島、庭瀬などの主要な七ヵ城の守将は、前後して三原に集まった。
隆景は、その人々に告げた。
「山陰山陽両方面とも、今日までの戦況では、遺憾ながら秀吉の精鋭の駸々たる攻勢に利があって、毛利方に戦捷があったとはいいがたい。しかも彼の兵力は年月とともに増強され、やがて十万にのぼろうとしている。そして備後境へ襲せて来るからには、宇喜多直家がその案内者たることも想像に難くない。宇喜多は多年わが毛利方の一翼だったが、利を見て信長へ款を通じた者である。これも是非なし、敵に武門の節義を売ろうというほどな者には、またその人間だけの小理窟と打算があるにちがいない。ところで、信長、秀吉からは、将来もあらゆる計策や利をもって、内々に、御身方まで味方に引き入れんと手をくだくに相違あるまい。明らさまにここで隆景は申しておく。信長へ通じたいと思う者は、遠慮なく彼に従って去るがいい。古今に例のないことでもないから、今のうちならば隆景も、さまで遺恨にはふくまぬであろう」