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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
06 第六分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页
軍旗祭
知らない小父さんばかりいるこの本陣の中では、ただ団栗のような丸い目をきょろきょろさせているだけだった。
後の――ずっと後年に。
黒田家の数ある武士の中でも、彼こそ真の黒田武士ぞ、と世にいわれた後藤又兵衛基次とは、このときの木から落ちた山猿みたいなこの一孤児、巌之助であった。
ここに、三木城も遂に陥落を告げる日が来た。天正八年正月十七日である。城主別所長治は、弟の友行、一族の治忠とともに割腹して、城を開き、家臣宇野卯右衛門を降使として、秀吉へ一書をもたらし、
(抗戦二年、武門の尽くすところは果した。ただ忠勇な部下数千と、一族の不愍なる者どもを、すべて殺すは情として忍びない。ねがわくば足下に託し、足下の寛大に仰ぎたいが、尊意如何)
と、あった。
もちろん秀吉は、欣然その潔きねがいをいれ、併せて、三木の城を収めた。
軍旗祭
降使、宇野卯右衛門が、長治以下、三名の首を献じて、三木城内にある数千の助命を仰いだ日、秀吉側からは、浅野弥兵衛が応接に出た。
検分もすみ、開城の手続きも、滞りなく、終った。
秀吉は、全軍に令して、
「城内から出て来る降人どもには、わけて懇ろにしてつかわせ。