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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

05 第五分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 页

青空文庫

と、家康へ披露された。

信長は聞いて、よい折である、すぐここへ召されたがよい。われらも共に敵状を篤聞き取りたい、といった。

柘植、渡辺のふたりは、両大将の前へ出て、曠がましい報告を、こもごもに語った。

「――まず敵の本陣から申そうなれば、大将武田勝頼殿には、有海ヶ原の西に陣どられ、屈強な旗本、騎馬隊など、見るからに、重厚に構え、兵数四千に近いかと見られました」

半蔵のあとをうけて、又十郎が清井田辺の模様を告げた。

「――清井田からやや南寄りの小高い丘には、小幡信貞、信秀その他が、遊撃隊として、戦場の一帯を視ております。そこから浅井境まで、厚い陣列しておるのが戦闘主力で、中軍三千余は、武田信廉、原隼人、内藤修理、菅沼刑部などの隊が見うけられ、左翼にも三千あまり武田信豊、山県昌景、小山田信茂、跡部勝資などの旗幟が望まれ、また、右翼としては、穴山梅雪、馬場信房、土屋昌次、一条信龍など――何しても物々しさ、言語に絶しております」

「長篠城の抑えには?」

質問は、家康であった。

それに答えて、渡辺半蔵がいった。

「そこにはなお、小山田昌行、高坂、室賀の精兵、およそ二千ほど残って、かたく城を制し、さらに、城の西山にも監視隊がおるらしく、附近の支塁、鳶ヶ巣山のあたりへかけ、概数一千余の兵が潜んでおるやに考えられます」