轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

05 第五分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 页

青空文庫

それは彼が、ここ十年ばかり仕えて来た信長をも――旧主の三好長慶や、前の足利将軍や、あらゆる旧態人のように、あまく馭せるものと見くびっていたことだった。

何ぞ知らんあべこべだった。彼のような乱世の奸悪を、きょうまで生かしておいたのは、信長の方に、それを利用する必要と寛容があったからである。

毒もくすりという原理を、信長は久秀に適用した。幕府崩壊のあとの、有象無象の策動やら、浮動分子の誘降やら、探りやら抑えやら、いろいろな裏面症状にたいして、この一毒をもって諸の毒素を制して来たものである。

そして、その使い方も、信長流であった。

上手をいったり、過賞を与えたり、巧く籠絡して来たのではない。

(こういう破廉恥な人間は、腹いっぱい慾を満たさせ、生命の保証さえしておいてやれば、どんな忍耐もして従いている)ことを充分に観ぬいて飼っていたのである。

だから、こんなことすらあった。

或る日、徳川家康が、信長に用談があって、その室にゆくと、座に一老将があって、いかにも鞠躬如としつつ、しきりに信長の機嫌をとっている。

――と、突然、信長はその老人を指さして、

「この漢は、松永弾正久秀という者で、もはやよい年でござるが、生涯、人にはできないことを三つなしとげておる。