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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

09 第九分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 页

青空文庫

一方に、旺なる貝が鳴れば、一方も攻め鉦を乱打して、各※(二の字点、1-2-22)、武者声を扶け、

「うしろは見せじ」

と、武門の名にかけて、烈しく鎬をけずり合った。

――が、一歩おそく駈け出した若者ばらは、すでに渦巻いている遠方此方の戦闘を捨てて、云い合わせたように、敵のむらがりを目がけてその中核へ突き進んでいた。

この一群の獅子児は。

福島市松、加藤虎之助、奥村半平、大谷平馬、加藤孫六、石川兵助、石田佐吉、一柳四郎右衛門、平野権平、脇坂甚内、糟屋助右衛門、片桐助作、桜井佐吉、伊木半七などであり、ほかにも秀吉馬廻りの面々があった。

獅子児は、強敵を選ぶ。

彼らの無言に求めていたものは、少なくも敵将の首だった。敵から槍をつけられても、一瞥、

「この木っ葉」

と見るあいては、蹴倒し、叩きつけて、駈け廻った。

「よい敵と見た。見参」

真っ先に、その大物を捉えて、こう挑みかかっていたのは、年少十八、紅顔の武者、石川兵助であった。

兵助は、年まだ十八に過ぎなかったが、秋田助右衛門と共に、旗奉行を任ぜられていたほどで、こんなとき、断じて、人後に落ちる若者ではない。