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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
徳田秋声『日本の文学 9 徳田秋声(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:新世帯、足迹、黴、爛。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 页
四十七
お庄は暗い物干しで、しばらく涼んでいた。中形の浴衣に、夜露がしっとりして、肩のあたりが冷たくなって来た。
暑い病室へ入って行くと、患者の呻吟声がまた耳についた。お庄は老婦に替って、患者の傍の椅子に腰かけた。
夜明け方から、叔母の様子があやしくなって来た。寝台に倚りかかって、疲れてうとうとしていたお庄が目をさますと、看護婦が出たり入ったりしていた。助手も注射器を持って入って来た。
お庄は外の白むのを待って、俥を築地へ走らせた。
四十七
家の戸がまだ締っていた。格子戸も板戸も開かなかった。お庄は俥屋を表に待たしておいて、裏口へ廻って、母親を呼んだ。母親は「おいおい。」と返辞をしながら出て来た。
「どうしたえ。お此さんの容体がまた悪いだか。」母親は台所の框に腰掛けて訊いた。
お庄も懈い体を水口の柱に凭せかけながら、叔母の容態を話した。
「それじゃとうとう駄目だかな。」と、母親はがっかりしたように言って、天窓を引いたり、窓を開けたりした。
「それでもまあ保った方さ。あのくらいにして駄目なのなら、よくよく寿命がないのだ……。」
叔父がまた家を開けていた。
「丸山さんへ行って、花でも引いているら。