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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

徳田秋声『日本の文学 9 徳田秋声(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:新世帯、足迹、黴、爛。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 页

青空文庫

三十二

「叔父さんの碁は大変長いって、今もそう言っていたところだに。」と母親は笑いながらその方を振り顧った。

叔父は黙って火鉢の傍に坐ると、赤く充血したような目をして、そこにあった新聞を長い膝の上で拡げて見ていたが、奥で叔母に床を延べさせて大欠をしながら寝てしまった。

「お庄ちゃんも昨宵から来て待っていますのに……。」と、叔母は言いかけたが、叔父は深く気にも留めなかった。

お庄は座敷で叔父の脱棄てを畳みながら今日も夜まで引っかかっているのかと思った。叔母は箪笥の上に置いた紙入れのなかを検べなどしていた。

夜になっても、叔父の目は覚めそうにもなかった。

三十二

晩飯の時、叔母は叔父の好きな取っておきの干物などを炙り、酒もいいほど銚子に移して銅壺に浸けて、自身寝室へ行って、二度も枕頭で声をかけて見たが、叔父は起きても来なかった。ランプに火を点けてお庄が呼び起しに行くと、叔父は顎の骨をガクガク動かして、細長い筋張った手を蒲団の外へ延ばして、ぐったり寝込んでいた。お庄は「厭な叔父さんね。」とげらげら笑いながら出て来た。

「あんなに疲れるまで遊んであるいて、体に障らにゃいいが……。