轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

徳田秋声『日本の文学 9 徳田秋声(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:新世帯、足迹、黴、爛。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 页

青空文庫

充たしがたい物質上の欲求も、絶えず心を動揺させていた。それを踏みつけようとしている良人の狂暴な手は、年々反抗しがたいものとなった。

「子供にもそう不自由をさせず、時々のものでも着て行ければ私は他に何にも望みはない。」

お銀のそういう言葉には、色の剥げて行く生活の寂しい影がさしていた。

笹村は、ある日劇場の人込みのなかで、卒倒したお銀の哀れな姿を思い出さずにはいられなかった。夫婦はその日、新橋まで人を見送った。そして帰りに橋袂で、お銀の好きな天麩羅を喰べた。

「ああおいしい。」

お銀はそう言って、笹村の顔を見ながら我ながらおかしそうに笑った。

「よく喰うな。」笹村は苦笑していた。

二人は腹ごなしに銀座通りを、ぶらぶら歩いた。

「私こんなところを歩くのは何年ぶりだか、築地にいたころは毎晩のように来たこともありますがね。」

お銀はそう言いながら、珍らしそうにそこらを眺めていた。

「歌舞伎を一幕のぞいて見ようか。」笹村は尾張町の角まで来たとき、ふと言い出した。

一幕見はかなり込み合っていた。薄暗い舞台の方を伸びあがって見ると、そこにはちょうど、地震加藤の幕が開いていた。