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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

徳田秋声『日本の文学 9 徳田秋声(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:新世帯、足迹、黴、爛。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 页

青空文庫

こうなるのが、彼奴の当然の運命だよ。己は決して可哀そうとは思わん。」

長いあいだ、お柳に苦しめられて来たことが、浅井の胸に考えられた。

「でも、私は一生あの人に祟られますよ。」

「莫迦言ってら。」

浅井は笑った。

「後悔するのが当然だ。今でこそ話すが、あの女が二日も三日も家をあけて、花を引いてあるく裏面には、何をしていたか解るものか。あの女の貞操を疑えば疑えるのだ。」

「何かそんなことでもあったんですか。」

「まあさ……そういうことはないにしてもさ。とにかくこれでさっぱりしたよ。己はこれまでに、幾度あの女のために、刃物を振り廻されたか知れやしない。それに、あの持病と来ている。まず辛抱できるだけして来たつもりだ。」

「お鳥目がなくなったら、また何とかいって来ますよ、きっと。」

「そんなことに応じるものか。」浅井は鼻で笑った。

二十八

お柳の手もとに育てられて来た女の子が、お増の方へ引き渡されたのは、お柳母子がいよいよ東京を引き払って行こうとする少し前であった。小林の家から、浅井が途中で買った翫具などを持たせて、その子をつれて戻った時、お増は物珍しそうに、話をしかけたり、膝に抱き上げたりした。