轻松读懂日语经典作品
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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
だが、もしそうだとすると、この美しいお嬢さんは、実の弟を殺害しようとした犯人の相棒を勤めているわけではないか。そんな恐ろしいことが、いったいこの世にありうるのだろうか。
手提げ電燈の合図は、今のが最後だったとみえて、部屋は再び明かるくならなかった。そして、その暗闇の中に、網膜の残像ででもあるように、異常にクッキリと浮き上がって見える白衣の女性は、もう帰るのであろう、宙をただようように、足音もなく、こちらへ近づいてくる様子だ。
明智は気づかれては大変と、大急ぎで階段を這い降りて、二階の部屋の片隅に身を潜めた。
白衣の人は、たびたびここに出入りしているのか、闇の階段を踏みはずしもせず、静かに降りてきた。かすかな絹ずれの音、ほのかなヘリオトロープの匂い、そして、息を殺す明智の眼の前を、白い靄のようなものがスーッと通りすぎたのだが、その時、まるで胸の底から絞り出すような「ハーッ」という深い溜め息が聞こえたのである。
明智はそれを聞くと、背筋に水をあびせられたように、ゾーッとしないではいられなかった。地獄の底から響いてくる幽鬼の歎息かと疑われるばかり、引き入れられるように陰気な溜め息であった。