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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
壁の穴
壁の穴
その翌日、一郎青年は新しい出来事を報告して、今後の処置を相談するために、同じ区内の篠田外科病院に明智小五郎を訪ねていた。
明智の傷は思ったより重傷であったけれど、ベッドに寝ながら人に会うくらいの事は許されていた。一郎は看護婦を遠ざけて探偵の枕元に腰かけ、きのうの出来事を詳しく報告した。
「ホウ、あいつが塀の上を歩いていたんだって?」
明智はなぜかひどく興味を覚えたらしく、無事な方の手で例のモジャモジャの頭をかき廻しながら言った。
「たぶん塀を越して逃げるところだったのでしょうが、それにしても、少なくとも一間か一間半は、塀の頂上を綱渡りのように歩いていたのです。なぜあんなまねをしたのか不思議で仕方がありません」
「君たちに姿を見せるためなんだよ、ほかの者がやったんじゃない、このおれがやったんだということをね。
ピストルはどこから撃ち込まれたか、まったくわからない。犯人の出入りした形跡がない。それにもかかわらず、おれはちゃんと目的を果たしたんだ。おれの腕前はどんなものだということを、君たちに見せびらかしたんだね。その後、別に発見もなかったの?」
「それですよ。