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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

非紳士協定

「成程ね」

「正義は正義だけれど、対等の地盤になるまでは多少御機嫌を取って置く必要がある」

「行こう。しかし、いるか知ら?」

「いなかったら、何処へでも附き合う」

「よし」

と吉川君は直ぐに応じた。

非紳士協定

書き入れの日曜だから外出の虞があったが、瀬戸君は丁度好く在宅だった。

「今日は君達がお揃いで謝罪に来るに相違ないと思って、昼から待っていたんだよ。朝は二人とも寝坊だ。それから保険屋が来るから潰れてしまう。何うだい? 手に取るようだろう?」

と瀬戸君は先見の明を誇るように、既に並べてあった二つの座蒲団を指さした。但しこれは玄関の応対を聞きつけてから置いたのかも知れない。

「大体当っている」

「君が三千円、安達君が千円か?」

「豪いよ、君は」

と吉川君は肚の中で馬鹿にしていた。

「この間は失敬した」

と安達君が直ぐ問題に触れた。

「酒の酔が醒めてから分ったろう?」

「さあ」

「まあ/\、宜いさ。水に流そう。二人揃ってやって来たんだから」

「ところで君は閣下のメンタル・テストを受けたのかい?」

「受けたよ」

「その大略を話してくれ給え。僕達はこれから受けるんだから、参考にする」