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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

横取りの宣伝

君や吉川君のことを余り好く言っていなかったんだ。その為め、閣下が別の候補者を立てゝ罪亡しをすると言い出したんだ。僕に責任がある」

「そんなことはないよ」

「僕はこれから閣下のところへ行って、君のことを話す。君の態度丈けでも、閣下は君の人格を認めてくれるだろう。他の候補者を持ち込むことは僕が責任を持って差控えて貰う」

「それなら宜しく頼む」

「豪いんだか馬鹿だか分らない。僕はもう相談に乗ってやらない」

と小宮君の方が却って機嫌を悪くした。

横取りの宣伝

「瀬戸さん、昨日のお話、何うなりましたの?」

と富士子さんは応接間へ請じると直ぐに訊いた。瀬戸君は昨今学校の帰りを毎日溝淵家へ寄ることにしている。可なり廻り道になるけれど、それは厭うところでない。富士子さんが待っていてくれる。溝淵閣下の画策宜しきを得て、冬休みの間に悉皆意気投合したのである。

「それよりも富士子さん」

「はあ」

「御覧下さい」

と言って、瀬戸君は一通の封書をポケットから探り出した。

「お父さまから?」

「はあ。父も母も大喜びです。溝淵閣下令嬢ならば家門の光栄とございます。父の先輩の長倉という人を仲人に頼むそうです。