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きゅうこんさんじゅうし
求婚三銃士
佐々木 邦
「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页
大団円
寒中にも拘らず、額に汗をかいていた。
大団円
それから後は四方八方落着が速かった。翌日、橋本夫人が吉川君の仲人の丸尾夫人を訪れた。用件は言うまでもない。遺憾ながら御縁がなかったのである。吉川君の両親はこれで吉川君の夢が覚めると思って、余り力を落さなかった。元来求婚競争を喜んでいなかったのである。吉川君も斯うなれば、男らしく諦める外に道がない。両親の勧めに従って、長倉家の縁談を真面目に扱うことに同意した。しかしその翌晩、仲人が改めて断りに来たのには驚いた。
長倉家では求婚競争に熱中している青年の為めに娘を犠牲にしたくないという歯に衣着せぬ口上だった。吉川君が事実無根を主張したら、仲人はその場丈けの話として、長倉氏が先輩と仰ぐ溝淵閣下から注意を受けたことに言い及んだ。
「分った。これで悉皆分った」
と敦圉いて、吉川君は立ち上った。
「何うした? 俊彦」
「土佐犬の仕業です」
「うむ?」
「僕、これから談判に行きます」
「好い加減にするものだ。この上世間へ恥を曝したいのか?」
とお父さんが戒めた。吉川君はその晩寝られなかった。何としても口惜しい。瀬戸君に宛てゝ絶交状を認めた。