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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

爆弾の使者

重大事件の報告を持って来るという電話がかゝったから、待っていたのだった。実は佳子さんは暮から正月へかけての病臥中御見舞を受けたけれど、全快後まだ御礼に行って居なかったものだから、

「別に御催促申上げたのじゃございませんのよ。無論お貸になっていますけれど」

と早速思い知らせた。香川さんは貸借の勘定がやかましい。お互の訪問の回数を手帳につけて置く。

「もう悉皆お宜しくて?」

「はあ。お蔭さまで。上ろう/\と思いながら、つい/\失礼申上げました」

「もうそんなにお言訳を仰有らなくても宜いのよ。これで私が三つお貸してあることさえお分りになって下されば」

「まあ/\。私、そんなにお借りしているんでしょうか?」

「狡いわ。嘘とお思いなら、今度お出になった時、帳簿を御覧に入れましょう」

「それには及びません。精々お返し申上げます。今日を入れて三つ?」

「今日を入れゝば四つよ」

「あらまあ! 私、何ぼ何でも、そんなに御無沙汰申上げた覚えはありませんわ」

「いゝえ、御縁談以来私の方からばかり伺っていますわ。一度お出下すった丈けよ」

「二度伺いましたわ」

「一度は私が留守でしたから、勘定に入れてありませんの」