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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

閣下のメンタル・テスト

と、安達君は淀みがない。

「感心ね。ガンカモアモガグ……」

「アオカゴヅメです」

「あら、私、濁るから言えませんのね」

「然うでしょう。濁るのは間違っています」

「して見ると閣下はナカ/\の曲者よ。態と間違えて引っかけたんですわ。奥さんも奥さんね」

と大谷夫人は口惜しがった。

閣下のメンタル・テスト

日曜の朝、安達君は村上君と保険医の襲うところとなった。約束をして忘れていたのだった。否応なしに診査を受けた。健康状態申分なく、医者に褒められた。

「会社では斯ういうのを歓迎するんだ。三千円ぐらいにして置こうか?」

と村上君は冗談に託けて気を引いた。

「駄目だよ」

「それじゃ二千円」

「約束通り千円さ」

「仕方がない。負けて置く。二三日中に又来るから、その時払込を頼むよ」

「二十五日過ぎにしてくれ給え」

「よし/\。都合によっては猶太人払いでも宜い」

「猶太人というと?」

「半年払いだ、一年払いの方が徳だけれど、半年で死ぬかも知れない。猶太人はその辺まで考えるから、半年払いにする」

「僕も猶太人で行こう」

「死ぬ心配はないけれど、その方が楽だ」

「うむ。半年払いにして、二十五日過ぎに来てくれ給え」