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きゅうこんさんじゅうし
求婚三銃士
佐々木 邦
「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页
「何んな理由があるんですか?」
「そんなこと、私、存じませんけれど」
「閑話休題」
「何かございますの?」
「いや。ハッハヽヽ」
と安達君、必ずしも口重でない。尤も一生懸命だ。
吉川君の次に瀬戸君が話題に上った。瀬戸君は卒業すると直ぐに手を廻し始めたのらしい。後から割り込んだものだから一言挨拶があって当然と主張したのも決してその場の行きがかりでない。
「或日、郵便受に学生新聞が入っていましたの。あなたの方の学校のよ。それで皆さんの席順が分りました」
と佳子さんが言った。
「すると三月の末ですね」
「はあ」
「僕が一番下でしたろう?」
「ビリじゃありませんでしたけれど」
「中軸ですよ、これでも」
「瀬戸さんは三番とは下らないと仰有っていました。その通りでしたわ、一番にはなれませんでしたけれど」
「そんな通信を予めしていたんですか」
「弼が然う申しましたの」
「成程」
「それを思い合せて、私、新聞をお入れになったのは瀬戸さんに相違ないと鑑定しましたの」
「奴に定っています。小刀細工の名人ですから」
「反感をお持ちになっちゃ駄目よ。秀才は秀才として認めて差上げるのが公平でございましょう?」