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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

正直者安達君

「カフェーをおごる」

「宜しい」

「ハッハヽヽ」

「いつ?」

「明日の晩」

「会社の帰りに落ち合おう。何処だい?」

「六時きっかり、西銀座」

「デカメロンかい?」

「うむ」

「あすこは何をするところだろう?」

「ハッハヽヽ」

正直者安達君

さて、日曜の朝だった。安達君が大谷夫人に縁談を勧められて膝を乗り出した時、女中が上って来て、吉川君と村上君を取次いだ。

「おい/\、珍客だよ」

と吉川君は否も応も言わせない。もう村上君を案内して現われて、

「やあ、奥さんがいたのか? いや、いらっしゃったんですか? この間は失礼」

「何う致しまして」

「お小言最中お邪魔申上げます」

「まあ」

「何を仕出来しましたか?」

「迚も敵いませんわ。何うぞ御ゆっくり」

と奥さんは逃げ出した。

「さあ。村上君、何うぞ」

と安達君は稍※(二の字点、1-2-22)改まって請じた。

「一昨日は失敬」

「僕こそ」

「早速やって来た。先刻、一寸寄ったんだよ」

「然う/\。失敬した。一寸出ていたものだから」

「保険屋になると居留守は食いつけているから一向驚かない」

「本当だよ。厭に僻むんだね」

「ハッハヽヽ」

「散髪屋へ行っていたんだよ」