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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

「しかし電話のある素人屋なんてものは滅多にないよ」

「いや、電話は筋向いの酒屋だ。小僧に毎月活動の切符をやって取次を頼んである。但しその切符は映画会社へ出ている奴から只貰う」

「凄いんだね」

「ハッハヽヽヽ」

「そのくらい抜目がなければ、成績も好いんだろう?」

「相応やっている。ところでいつ行こうか?」

「日曜の午前中は大抵いるから、やって来給え」

「医者をつれて行くよ」

「冗談言っちゃいけない。僕は未だ些っとも考えていないんだから」

「考えていて会社へ自首して来るようなのは御免蒙っている。叩き殺しても死なないようなのに見込をつけるんだ。何うだい?」

「よせよ、もう」

「僕のところは五大会社の随一だ。他の会社と違う。その辺を詳しく説明してやる」

「幾ら説明しても僕は駄目だよ」

「ナカ/\頑強だね」

「差当りそんな余裕はないんだ」

「それじゃ入るとしたら、僕の手で僕の会社へ契約してくれ給え。何も急ぐんじゃない。枯木も山の賑かしってことがある。勧誘員ってものは、兎に角間口を拡げて置くのが成功の第一歩だ」

「僕は本当に枯木だよ。勧誘しても、見込はない」

「いや、枯木に花を咲かして見せる。