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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

雷門以北「東京日日新聞 夕刊」1927(昭和2)年6月30日~7月16日<br>吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年2月<br>続吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年3月<br>隅田川両岸「中央公論」1935(昭和10)年9月<br>浅草田原町「三田文學」1912(明治45)年2月<br>あやめ団子「花形」1920(大正9)年8月<br>相模屋の路次・浅倉屋の路次「新演藝」1920(大正9)年8月<br>浅草の喰べもの「中央公論 夏期特別號」1920(大正9)年7月<br>夏と町々「時事新報 夕刊」1929(昭和4)年6月1日~30日<br>絵空事「新潮」1932(昭和7)年3月<br>一年「東京新聞」1946(昭和21)年4月15日<br>浅草よ、しずかに眠れ「苦樂」1948(昭和23)年2月<br>夜店ばなし「婦人公論」1931(昭和6)年7月<br>除夜「週刊朝日」1930(昭和5)年12月28日號<br>正月「婦人公論」1932(昭和7)年1月<br>水の匂「文藝春秋」1941(昭和16)年7月<br>町々…… 人々……「別冊文藝春秋」1955(昭和30)年2月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 页

青空文庫

属するので。……

それが六月だったか七月だったかはわすれましたが、かなりもう暑くなった時分で、日の暮れることの遅く、いつまでも日のカンカンあかるかった時分ということだけはたしかです。なぜなら六時という定刻の、どうかした工合で三十分も早く会場へ着いてしまい、幹事さえまだ来ていないのにきまりをわるくしていそいでまた外へ出、時間つぶしにあてもなく方々ほッつきあるいたので……でもなかなかつぶれません。同時にまたそうなるとよけい空のめげない真ッ光が気になります。――たまたまそのとき通りかかったのが深川座のまえ……そうだ。……ここへ入ればいい、すなわち出来ごころにふらふらとそのまま「立見」の札売場のまえに立ったので……

そのときやっていた狂言を何だとお思いになります? 黙阿弥の「処女評判善悪鑑」。すばしりお熊だの雲切お六だの木鼠お吉だのの出るあの「白浪五人女」です。――入るとちょうど「古寺」の、旅の女にすがたをかえたそれらの女賊が今五右衛門と名告る三枚目の山賊を取って押える幕のあいているところでした。意外に面白いので、つづけて後もう一ト幕、例の清元の「夕立」