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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
雷門以北「東京日日新聞 夕刊」1927(昭和2)年6月30日~7月16日<br>吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年2月<br>続吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年3月<br>隅田川両岸「中央公論」1935(昭和10)年9月<br>浅草田原町「三田文學」1912(明治45)年2月<br>あやめ団子「花形」1920(大正9)年8月<br>相模屋の路次・浅倉屋の路次「新演藝」1920(大正9)年8月<br>浅草の喰べもの「中央公論 夏期特別號」1920(大正9)年7月<br>夏と町々「時事新報 夕刊」1929(昭和4)年6月1日~30日<br>絵空事「新潮」1932(昭和7)年3月<br>一年「東京新聞」1946(昭和21)年4月15日<br>浅草よ、しずかに眠れ「苦樂」1948(昭和23)年2月<br>夜店ばなし「婦人公論」1931(昭和6)年7月<br>除夜「週刊朝日」1930(昭和5)年12月28日號<br>正月「婦人公論」1932(昭和7)年1月<br>水の匂「文藝春秋」1941(昭和16)年7月<br>町々…… 人々……「別冊文藝春秋」1955(昭和30)年2月~6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 页
としたセルロイド細工のアーチの立った雷門のほうへ目を向けた。”
……たしかにぼくの書いたものである。……とはいえるけれど、さて、いつ、どこに、何んのために書いたものか、かいくれ、おぼえがない。
――はて?……
と、ぼくは、首を傾げた。
と、
――“スイート”ですよ。
その人は、すぐに手をさし伸べて、ぼくに掴まらせてくれた。
――それ、あったでしょう、そういう宣伝用の機関雑誌が。……明治製菓からでていた……
――ああ、“スイート”。……あの……
それで、たちまち、謎はとけた。……戦争まえ、その会社の宣伝部長をしていた水中亭こと内田誠君。……いまは、大磯で、しずかに病いを養っているが、そのころは、どうしたら世の中を面白くすることができるか、ゆたかにすることができるかと、そればかりをメドにして行動していた Dandy だったから、十分、その凝り性を発揮して、そうした名まえの、紙質のいい、印刷の美しい、およそ宣伝用機関雑誌らしからざるパンフレットをこしらえて、諸方の、得意さきその他に配った。そのためにしかし、われわれ、かれの友人たちは、交互に、それに執筆する義務をもたせられた。