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しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

「新青年」博文館、1936(昭和11)年2月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 页

青空文庫

僕は痛味を怺えて、ようやく起き上った。

気になるのは、三人の巨頭の安否だった。お照の放った弾丸は確かに命中した。その弾丸に当って、待合の前でドーンと倒れてしまったのは、誰だったのか?

真先に目に入ったのは、動坂三郎だった。彼は門の脇にウロウロしていた。その向うに、長々と地上に倒れている人間が見えた。近寄ると、高屋市長の声で、

「おお、浅間君。黒河内さんがやられたッ」

「ええッ、総監がですか。……」

駈けよってみると、何と痛わしいことではないか。黒河内総監が、肩を抑えて呻っていたではないか。

「黒河内さん、どうしました。しっかりして下さい」

「ああ、浅間君。もう何でもないよ」総監は寝たままで云った。「それでネ、浅間君。私は病院に行きたいのだ。君に頼むから、どこかその辺の病院へ連れてってくれ給え。君と二人だけで行きたい。私がいうまで、警視庁へ電話をかけるのも控えてくれ給え。さあ、警官たちの来ぬ間に、早く早く、早くやってくれ」

「ええ、分りました。しっかりしていて下さい。それでは僕が起してあげますから……」

するとその側へ、動坂三郎がヌッと顔を出して、傷ついた総監を覗きこんだ。