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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
「新青年」博文館、1936(昭和11)年2月~6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 页
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は云われる。さあ一緒に探して呉れたまえ」
速水は、壁間のスイッチを押してから、重い扉を開いた。天井に嵌めこんだ大きなグローヴを透して、まるで昼間のように明るい光線が室内を照らしていた。これはなんという風変りな部屋だろう。内部は日本間となっていて、丁度お城の広間のようにだだッ広く、その中央に背の高い屏風が立て廻してあった。
僕たちはツカツカと屏風の傍に進み、それを左右に開いた。
まるで土俵のように盛り上った二つの厚い蒲団――その蒲団の夜着の間から、二つの頭が覗いていた。一人は紛れもなき海坊主のような市会の大立物動坂三郎、そしてもう一人はどうも見たような横顔なので、ソッと枕許を廻って、正面から覗いてみたが、途端に呀ッと仰天した。
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「……マスミだッ。……」
海坊主の横手にすやすやと夢路を辿っているのは、意外にも彼のモガ崩れのマスミだった。僕はただ訳も分らず、無暗に腹が立った。マスミの枕をポーンと蹴飛ばしてやりたくなって、ツカツカと傍へ寄ったが、途端にこれは卑怯だなと気がついて、辛うじて思い停った。そういえば、先頃、マスミは日比谷公園で動坂の自動車にノコノコ乗りこんだりしたが、それから考えると、この体たらくも別に怪しむに足りないことだったかも知れない。