轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

「新青年」博文館、1936(昭和11)年2月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 页

青空文庫

「ああ、これだッ。――」

僕の直感はたしかに的中した。たしかにこの引出の中に入れて置いた筈のそのボロ包みが紛失しているではないか。

「盗まれた!――誰が盗んでいったろう」

僕は慄然として、部屋の中を見まわした。しかし、部屋の様子には、その外に別に異変も見当らない。窓のところによって、内から掛けてある締りをいちいち調べて廻ったが、どこも皆ちゃんと掛っていた。ただ勝手元の床の上に、葉が黄色く枯れた水仙を差して置いた花筒が見えない。よく見ると、板の間に水をひっくりかえしたらしい痕があって、その蓋をひっくりかえしてみると、その辺二、三枚ばかり、裏の方へ水が廻ったまま濡れている。

「誰が花筒をひっくりかえしたのだろう?」

それは云うまでもなく、この部屋に忍びこんだ怪しい人間の仕業に違いなかった。

では、花筒はどこへ行った? 僕は躍気になって、部屋という部屋――というほど沢山あるわけでもないが――を駈け廻った。押入もいちいち明けて見た。そして結局何の得るところもなく元の書斎へ戻ってくるとこれはしたり、僕の机の上に、くれないの罌粟の花束が、探していた花筒に活けて載っているのを発見した。