轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
「新青年」博文館、1936(昭和11)年2月~6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 页
僕は素早く、客の中に目指す相手の女を猟った。
居た居た。さまざまのレッテルの洋酒壜が、夥しく並んだ壜棚と背の高い花道のような卓子との間に挟まって、カクテル・グラスを、危そうに取り上げている肥り肉のちょっと人好きのする年増女が目にうつった。余程きこしめしていると見えて、頬は艶々と赭く、前額からは長い毛がだらりと垂れさがり、両眼はとろんとして、あまりいいざまではなかった。小さい歯の揃った口を盛んに現わしながら、傍へ引きつけたバーテンダーを口説いていたが、そのうち急に入口の方に目を据えると、オヤッという風な表情をした。そして直ぐ前に飲んでいる男客を無遠慮に双方へかきわけながら、半身を高い卓子の上に乗りだしたかと思うと、こっちの方をためつすがめつ見る様子である。とうとう新来の僕に見当をつけたらしかった。僕は身体が竦むように感じた。
「ああ、ちょいとちょいと。……」
酔っぱらいの年増女は、双腕を僕の方に伸ばしたまま、酒棚の前からフラフラ出てきた。
「ああ、やっぱりお前さんだったネ。妾はずいぶん待っていたのよ。……」
そういいながら女は僕の双肩に腕をかけて、プンプンするアルコールの蒸気を吹きかけた。