轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

「新青年」博文館、1936(昭和11)年2月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 页

青空文庫

そしてそのまま壁を蹴って、開かれた窓の中に滑り込んだ。そのときブラインドがバサリと顔を打ったのに驚いて、もすこしのことで悲鳴をあげるところだった。

家の中へ這入りこむと妙なもので、最前までの気持とはガラリと変り、いやに気が落着いて来た。度重なる夜々の冒険が、僕の心をひき緊めたのでもあろうか。それともいまだ経験したこともない盗賊のような振舞に、自ずと胆が据わってきたのでもあろうか。

窓にブラインドが下りたのを確かめた上、このとき始めて僕はポケットの中から小型の懐中電灯をとりだして、パッと灯りをつけた。小ぢんまりしたこの部屋には、壁を背にした書棚がいくつも並んで居り、ズラリと並んだ同じ型の事務机の上は言いあわしたようにキチンと整頓していた。僕はそんなものには再び見向こうともせず、前面に閉っている扉に近づくと把手に手をかけてグッと押した。扉には錠がかかっていなかった。僕はなんなくそこを室外へ抜けて、廊下に出た。

鍵がたに曲った廊下を、静かに歩いてゆくと、左側にポツンと硝子の嵌った扉がついていた。

「これだナ。――」

と思って、その扉の前へ立ち止った僕は、硝子を通して向うを覗いた。