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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
但しそれとても決して無視することは出来ない。例えばガリレイが実験によって落下法則を出したと云われているのは、今日ではピサの斜塔の場合と共に一つの伝説で、寧ろ彼は、Dominicus Soto 等が懐いていた反アリストテレス的思想――如何なるものも同じ速度で落ちるという世界観――から、その実験を企てる気になったという点が注意されている。
範疇組織は、之に反して、世界観によって規定されることが極めて著しい。無論範疇組織は勝手に選択したり勝手に考え出したりすることは出来ないので、世界の客観的な関係の中から決って来なければならないのではあるが、認識の発達が一定以上の段階に達した後は、世界が範疇を規定すること、即ち言葉を換えて云えば、吾々が範疇組織を用いて客観世界を反映することは、直接には行なわれないで、一定の歴史的にそこに与えられた世界観の立ち合いの下でしか行なわれない。観念論的な世界観の下では当然観念論的な範疇組織が選ばれ(例えば主観主義的・形而上学的・機械論的・範疇組織)、唯物論的世界観の下では之に反して、唯物論的範疇組織が選ばれざるを得ない(唯物弁証法的オルガノンがそれである)。