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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

03 下巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 页

青空文庫

も、格別今迄に悪い噂を耳にしたことがないのを見れば、まあこれと云う欠点はなさそうに思う、猶御不審の点は、直接打つかってお聞きになるのが却って手っ取り早いであろう、などと云うのであったが、それにしても、沢崎氏の先妻の子供は二三人と云うのみで、二人なのか三人なのか、男子なのか女子なのかさえも聞き合せてない始末であった。が、未亡人は自分の計画が此処まで進展したことに気をよくしているらしく、それで、幸子さんの御返事を戴くと直ぐ電話で打ち合せたのであるが、明朝十一時前後に沢崎氏の方から訪ねて来ることになっているので、此方は雪子さん、幸子さん、私の三人で会うことにして、別にお構いは出来ないけれども、常子の手料理でお昼御飯を差上げようと思う、ついては、蛍狩は今夜にして、明朝妙子さんと悦子さんとは、忰に案内させ、関ヶ原その他の古跡を見物に行かれるように取り計らおう、弁当持参で出掛けられて、二時頃迄に帰って来られれば、その間に此方も済むであろう、と、至極上機嫌の顔つきで云い、縁のものだから分らないけれども、私は実は、雪子さんが今年厄年になられると云うことばかり頭にあったので、あんなにお若く見えるとは思ってもいなかった、あれなら世間は廿四五で通るから、年齢の注文にも篏まっているようなものではないか、などと云ったりするのであっ