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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
俺は言葉に窮して、へどもどした。慷堂は愉快そうに、
「共産党は全く面白いことをやりおる。武漢では、裸婦遊街という痛快な催しをやりおったそうだ。女性解放のデモンストレーションだ。素っ裸になって遊街――デモンストレーションを行なおうというのだ。これはさすがに、ほんとに裸になって出て来た勇敢な女はたった八人しかいなかったそうだが、いやはや、こういうのを乱七八糟(めちゃくちゃ)――一方では恐怖政治をしといて、一方ではこんなバカなことをする共産党が永続きするわけがない」
「裸男遊街はやらんのですかね」
俺が茶々を入れると、
「君は瀬良なんとかいう女の子のことを、わしに聞いとったな」
この慷堂に俺はこの前、瀬良という支那浪人を知らないかと聞いたのである。砂馬が瀬良照子のことをしゃべったにちがいない。砂馬は俺には、娘が銘酒屋奉公をしている支那浪人の娘を知らないかとは、まさか、同じ仲間の慷堂に聞けたものではないと言っていたのだが、これで見ると、それほど慷堂と砂馬とは親しくなったのか。
「いや、瀬良という支那浪人のことですが」
俺が言うと、
「瀬良などと言うから分らなかったのだ。