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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

からきし、いくじがないにきまっている。

「話せば分る」

なんて泣きごとを言うのは、まだいいほうで、

「カンベンしてくれ」

と土下座もしかねないだろう。そんなことを想像すると、全く胸がわくわくする。

実物に俺は会ったことはないけど、金ピカの大礼服かなんか着て、コケおどしのなまずヒゲなんぞ生やして、えらそうに胸をそらした奴らの写真は新聞で見ている。人民を虫ケラみたいに見くだしているあいつらが、どんな泣きベソをかくか。

「イノチだけは、オタ、オタ、お助け……」

なんて醜態なネをあげるにちがいない。想像するだけでも溜飲がさがるというものだ。

警戒厳重な京城の街で、こっそりひとりで尾垣大将を狙撃するなんてことじゃなくて、今度は派手に兵隊が出て行って、盛大に大臣どもをやっつけるのだ。地味な狙撃でさえ俺は闘志を燃やしたのに、盛大なテロなんだからこたえられない。

政治をローダンしている大臣どもだけでなく、財界のボスどもにも同時に膺懲の剣を下すのである。金権政治の金蔓を絶つためにはこれもやむをえないのだと北槻中尉らは言うが、俺は奴らの積悪に対してこれは当然のことだと考える。