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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
で書かれている「自由連合による下から上への自由組織、あらゆる束縛から解放された労働大衆の組織――解放された全人類の組織、新しい人間世界の創造」(バクーニン)――この組織と創造のためには、何よりまず破壊だ。俺たちの理想の建設のためには、何よりまず暴動だ。
「大事なのは暴動だ。暴動をおこすことだ」
と丸万はくりかえして言った。丸万から逆に俺は煽られた。
「しっかり頼むぜ、四郎さん。軍人をおだてて、アゲツギ(お世辞)でコマ(だま)して、うまいこと、事をあげさせるんだ」
「ありゃ、なんだ」
暗い草むらに、ピカリと光ったものがあった。
「ドラ猫だよ」
と丸万が言ったときは俺もそうと分っていたが、分ったことで俺は一層いやな気がした。
そのオシャマ(猫)は、京城の猫を俺に思い出させながら、のっそりと通りすぎて行った。眼玉だけ光らせて――だが、光ったその眼で、俺をじろりと見て行った。
「もしもカラ(失敗)をフムような場合は、満州へでもずらかって、次の機会を待つさ」
執念深くやろうぜと言う丸万に、
「満州へゲソはいて(逃げて)二代目天鬼にでもなるか」
砂馬から聞いた満州馬賊の――日本人の馬賊のタンジャ(頭目)の名である。