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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

玉塚がかつて詩人だったように、俺は自分のうちに詩人を見出したということではない。俺はあくまで「実行」で行きたかったのだ。行動で生きたかったが、病いに倒れて行動ができない。そんな俺は、たとえばこんな詩を書いた。

貝が舌を出すように

ふとんから脛を出して

寝た

涼しいような

暑いような

機嫌がいいような

くたびれたような

生ぬるいような

濁った塩水のような

なまぐさいような

夕方はまつゆにされるはまぐりのような

こうした詩を、あるとき玉塚に見せたら、これは面白い、雑誌に売ろうと言った。売れやしないと言った俺は、ほんとは売りたくなかったのだが、いや、売れると玉塚は言って俺の詩稿を持って行った。そうだ、これは俺が退院してからのことで、話が飛びすぎた。

リャクに行った玉塚の家からそのまま病院へ俺は運ばれた。リャクをやる前に俺はぶっ倒れた。だから、と言うのも変だが、玉塚が俺の病院代は持ってくれた。玉塚としたら、高いもんについたわけだ。俺も玉塚にそんなにたかるのは悪く、生命を取りとめたとなったら、早速――と言っても数ヵ月がまたたく間に経過していて、年末に俺は退院した。医者は俺に、サナトリウムにはいるか、でなかったら空気のいいところへ転地しろと言ったが、退院した俺の行き先は、よりによって砂埃のひどい兄貴の家だった。