轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
日本人の客はいないみたいだ。四・五・六はチャレケ(腕時計)をのぞいて、
「そのうちフローアショウがはじまる。眠気ざましに爆竹をポンポンとやるから、そのとき……」
と俺に言って彼もまた暗いホールに眼をすえていた。
テーブルの客はみんな女を連れている。ダンスホールではないから、ここには舞女はいない。跳舞も同伴の女としているのだ。旗袍の裾の割れ目から女の足がちらちらと――暗いのでよけい目立つ。うめえことをしてやがると俺はムカついた。
「あすこだ」
と四・五・六が俺の耳に言った。ビールのコップで指さきを隠すようにして、俺に場所を教えた。その指さしたところを俺が眼で探すと、なんと矢萩が中国人の男女とテーブルを囲んでいる。ローソクの光が顔だけ照らし出しているその顔は正しく矢萩にちがいない。
「あれか」
「あれだ」
「あれは矢萩じゃねえか」
「そうだ」
「あれをやるのか」
四・五・六は黙ってうなずいた。
「そうか、ロクさんはやっぱり矢萩の子分だったんだな」
砂馬でなく矢萩を殺せと四・五・六は言うのだ。それを車のなかでどうして砂馬などと言ったのだろう。砂馬への俺のいわば忠誠をためそうとしたのか。