轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
「矢萩さんよ。頼むから俺を怒らせないでくれ」
「なにを、生意気な口をききやがる」
俺は生意気な気持で言ったのではないが、矢萩はそう取って、
「なめるな。この野郎!」
「野郎だと?」
「おめえは砂馬につく気だな」
この矢萩も、俺と同じようにピストルをもう一挺、ポケットにひそませているようだ。と思ったとき、激しいピストルの音が――すぐ爆竹と分ったけど、足もとから、そんな感じで階下から聞えてきて、俺をぎくっとさせた。
「口ほどでもねえな」
と矢萩は嘲った。
「ふん。朝倉みたいに俺を塩漬けにしようてのかい」
爆竹の音にまぎらせて、俺を射ち殺そうというのか。
「そうはさせねえ。俺は朝倉なんかとは、ちょっとばかし、ちがうんだ。おめえさんとも筋がちがうんだ。俺はおめえの嫌いな――アカじゃねえが、国賊だ。テロリストだ」
ポケットに俺は手を入れて、ピストルをつかんだ。
その六 過去の中の現実
俺は矢萩大蔵を射殺したのである。
なぜ? 理由なんかない。いや、あることはあるけれど、そんな理由は矢萩大蔵を俺が射殺せねばならぬほどの理由にはならない。
(お次は砂馬だ!)
そんな声を俺は聞いた。