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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
お茶を飲んだあと丸万は、セミ(店)をツケ(出さ)なくちゃならないからと言って、ハイリョウ(一円)のオブ代をはずんで、ひとりでゴイ(帰る)した。俺とクララはベッドのある部屋にはいった。
俺は部屋の窓から色ガラスごしに外を眺めた。丸万が消えたら、一刻も早くクララを抱きたいと思っていた俺なのに、これではまるでその反対にベッドに近づくのを避けているかのようだった。その俺は、なんというか、ひどくセンチメンタルになっていたのだ。
ヤチバラシに来た男たちがぞろぞろと、あさましい助平面をして歩いているのが、窓から見える。俺もあんな助平面をしているのか。俺は特に、鼻の下をながくして、もっといやらしい面をしているのかもしれない。
ヤチバラシとは女を買うという意味である。だがこのテキヤのチョウフは、女郎屋へ登楼して女郎買いをする場合に使われていた。本来の意味は単に女を買うということだろうが、習慣的には女郎買いのことになっていた。だから、ここのような私娼窟で淫売を買うのを、ヤチバラシと言っては、ちょっと筋がちがうと――擬人法で言えば、ヤチバラシからインネンをつけられるかもしれない。